2015年
6月
14日
日
シェードの写真について聞かれる事が何度かあり、ホームページにあげる予定でおりましたが、余裕が無く放置状態のため以前書いた説明をブログに載せておこうと思いました。
そのケースを製作する技工士さんの欲しい写真が正解なのだと思いますが、私自身が参考にしやすい写真について書いたものであり、すべての技工士さんに当てはまるものではありません。
また、口角鉤が無かったためトレーレジンで適当に作りました。撮影に関しては適宜部位に合った口角鉤を使用していただければと思います。
左2枚は角度を変えて撮影したものです。
歯頚部よりから撮った2枚目のほうが反射エリアが小さくなり、1番の切端色が見やすいと思います。
また、閉口していると切端が上下で被るため透明感がわかりづらくなります。少し開口すると背景が暗くなりわかりやすいです。
ユニットに寝かせた患者さんの頭部に立ち、撮影するとやりやすいです。(画像は逆さまになりますが)
目標とする歯牙にガイドを合わせて、角度の違う数ショットあると比較しやすいです。
ガイドは切端と切端を合わせます。
この時注意するのは、歯牙とガイドをカメラレンズから同じくらいの距離にすることです。
大抵はガイドがレンズに近いため、白っぽく写り易いです。
また、ガイドと歯牙は被らないようにしてください。
臼歯部などはあまりシビアでも困りますが(笑)、溝の色や入り方、白濁や透明感の参考になりますので適当に写真があると良いです。ボケない程度にガイドがあれば良いですが、一人で撮影だと厳しいですね。
特に焦げ茶のラインを入れて良いか悪いかは指示いただけると助かります。
忘れやすいのですが、撮影に使ったガイドのナンバーを一緒に撮っておくと間違えがありません。写真に写っていても何番のガイドかわからないという事はよくあります。カルテの患者さんの氏名を一緒に撮影している先生もいました。
ガイドをはめているのは、松風の「ガミー」という商品です。ガムの色は4種類あり、3つのガイドを同時に撮影しやすいのでオススメです。
4個入りで定価2800円です。
シェードガイドにはたくさんの種類があります。それぞれの補綴に合ったものを用いるのが良いのでしょうが、いちいち補綴やラボ別に考えて撮影するのは大変だと思います。
セラミック、レジン、人工歯など大体に共通しているのがVITAのクラシカルシェードガイドです。
ですので、VITAクラシカルをベースにして1~2本、他のガイドを1~2本同時に入れて撮影していただけると分かり易いです。複数のガイドを入れた同一写真でないと露出が変わるため比較しづらくなります。
また、大抵露出が歯肉に合わせているため、歯牙がオーバーで白く飛び気味です。露出アンダーで撮影して頂けると助かります。
当方で現在所有しているガイドは下記のものです。
・VITAクラシカル
・VITA 3Dマスター
・イボクラールビバデント クロマスコープ
・e.max Press HT シェードガイド
・ノリタケ シェードガイド
・松風 ビンテージハロー シェードガイド
・バイオブレンド シェードガイド
e.maxのインレーやアンレーなどでは、主にHTインゴットを使う事が多いです。
通常のガイドの写真とは別にインゴットのガイド写真があると助かりますが、ガイドが高価なのでこだわる先生にのみお薦めします。
2020年
7月
20日
月
先生が勉強会で使うかも・・・との事で詳細は書きませんが50代前半女性のケース。
e.maxで3歯連結、2歯連結の2ブロックにて補綴。
この先生はいつもたくさんの写真を撮って送ってくれますが、シェードガイドを入れたものだけではなく、下記のような様々な情報を含んだものてんこ盛りです。あくまで私個人の雑感です。
・顔貌からスマイルラインがわかるもの
模型だけだと咬合平面の傾きがわかりません。また、前歯の出具合の参考になることもあります。よくあるスマイルラインが傾いちゃったケースや歯軸が流れちゃったのはこの辺の情報が足りなかったのでしょうね。
・前頭面、咬合面
正面から撮影した口腔内では傾きはわかりません。でも全体の写真があるとどんな雰囲気にするか患者さんの年代とともに指標となります。咬合面観は手間がかかるせいかあまり撮ってもらえません。でも下顎補綴の場合はミラー使わなくても良いので欲しいショットです。意外とエナメルの透明感がわかるのでありがたいです。
・現状のテンポラリー、支台歯の色
テンポラリーの参考模型があればなくても良いのですが、結構口腔内に馴染んでいることが多いんですよね。
オールセラミック、ジルコニア補綴の場合は支台歯の色がわかる写真が欲しいですね。模型だとメタルコアが入っていてもわかりません。
・色の系統やメーカーの違うシェードガイドを入れてのショット、光の反射を考えての角度違いのもの
シェードガイド1つで1ショットより複数ガイド入れて撮ってもらった方が比較しやすいです。
(例えばA3,A3.5,A4のガイドを個別に3枚撮るよりも、3本入れて1枚撮影)
基本Vitaのクラシカルシェードですが、他社の似たようなシェードのショットがあると明度・彩度の比較検討がしやすいです。
今回のケースではVitaのクラシカルシェードと3Dマスターシェードの2種類でした。
・偏光フィルター使用の無反射撮影
なんかよく知らないのですが、諭吉1人では買えない撮影用フィルターがあるそうです。
多分これかな・・・(polar_eyes)
かなり露出アンダーになりますが、反射がほとんど無くて歯牙の内部構造や色の分布がよくわかります。
今回のケースでは34枚のショットがありました。
数が多ければ補綴の色が合うということではありませんが、少ないよりは明らかに比較検討できてゴールを認知しやすいです。全ての先生がこんなに送ってきてくれるとありがたいですが、きっと手も回らなくなり病気になりそうです。(笑)
このケースに限らず、いつも繊細で丁寧な先生には感謝です。